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Allgood Story 滝沢 秀一

アンバサダー(Allgood Collective) やローカルリーダーをお招きし、
「環境責任、クリエイティブ表現、個人の健康とウェルネス」を応援する
トークイベントAllgood Storyを開いています。

今回はのゲストスピーカーは、「お笑い芸人」でもあり「ゴミ清掃員」でもある滝沢秀一さん。

2つの顔を持ち合わせている滝沢さんが伝えたいAllgood Story『フードロスから考えるゴミの減らし方』について、覗いてみましょう!

日本のゴミ事情

日本には最終処分場というゴミが最後に行き着く場所があって、最終処分場に限りがあることを初めて知りました。

僕は今年で清掃員11年目になるのですが、ゴミ清掃員になるまで全く知らなかったんです。清掃車は最大2トンで900個くらいゴミ袋が入る。

あの清掃車を一車満帆にしたら一日の仕事終わりだろうなあと思っていたら、違った!(笑) 清掃車を一日6回満帆にするんです。

なので、1日で清掃車は10t〜12t回収します。一台でですよ!?

でも清掃工場に行くと、俺らの仲間がいます。
そうすると1日で10~20台x10tの計算になります。

自分の担当地域だけでこんなにゴミ出るんだと驚きました。
他の東京全体・日本全体だったらもっと出るよなあと思って仕事をしていました。

ベテラン清掃員に聞いてみた質問「日本ってゴミで埋まらないの?」

答えは『埋まるよ。後50年で。』

清掃工場は見たことありますか?(写真参照)
横幅30m、縦幅20m、深さ20m あります。

これが年末年始になると清掃車ストップになる。
なぜかと言うと、すぐ満帆になるから。
ゴミを処理してからでないとこの中に入れちゃダメと言う決まりです。

僕は最大で2時間半も待ったことがあります…
年末年始はみんな断捨離するから満帆になる。コロナの時は断捨離ブームだったので、すごい待ちました!

ある日「日本ってゴミで埋まらないの?」ってベテラン清掃員に聞いてみたんです。答えは『埋まるよ。後50年』と。

日本の中央最終防波堤最終処分場はあと50年しかゴミを埋めることができないんです。

分ければ資源、混ぜればごみ

仕事をしている中、こう思ったことがあります。
『待てよ。回収しているものは全てゴミなのか?』

基本的に可燃ごみの中でも、持ってて重いものがある。

それは紙。紙ってすごく思い。実は可燃ごみの中の3分の1は紙。
しかし紙類の可燃ごみの中で、16.1%は分別したら再生資源になる。

次に多いのがプラスチック。このうちの9%は資源。
この2つを抜くだけでも、3割弱ゴミが減る計算になります。

ノート・カレンダー・お菓子の箱は資源として再生されることができます。古紙の日に出して雑紙として出せばもう一度紙として生まれ変わるんです。

しかし可燃ごみとして出すと、燃やされて灰になるので本当のゴミに。自分の気持ち一つで真逆の行為になるのは面白いよね。

あとは洋服!すごく多いです。
断捨離ブームは最近習慣化したので、年末年始だけでなくて、最近ゴミは多く捨てられています。

結論、生活スタイルが変わらないとゴミは減らないんじゃないか?
と考える様になりました。

生ごみの問題

紙とプラスチックを抜いて、生ゴミの問題にぶち当たります。
可燃ゴミ中の40%前後は生ごみ。

僕は生ごみを出来るだけ減らすために、コンポストと言うものを行っています。黒土コンポストと言うもので、この中にバクテリアがいるので、生ごみを食べてくれるんですよ。

面白いのが、動きが人間と一緒なんです!人間も寒いと動かないじゃない?(笑)それと一緒で夏は活発!冬は全然食べないよね。

人間が好きなものが好き。卵の殻とか食べないもの。(会場笑い)みかんの皮も食べない。

唐揚げの端とかの食べ残しはバクバク食べてる!笑
僕はマンション暮らしだし、畑もないけど、700円のプランターで安くできています。

僕の家では余計なものを買わなかったり、ゴミを減らそうと取り組むようになってからゴミがすごく減りました。

今までは4人家族で1週間でに4〜6袋出していたのが、今は1週間で1袋に。
ゴミ出しをしなくていい快適さって気持ち良いよね〜!

日本の最終処分場の寿命は、なんと後○○年

最終処分場って見たことありますか?
足元を見るとこんなものがあります!これは灰です。(写真)

よく 「ゴミって燃やしちゃえばいいんじゃないか?燃やせばゴミが消えて無くなる!」 と思われているが、そうではない。

答えは灰が残り、最終処分場に埋められます。この灰と不燃ゴミを砕いたものが処分場に埋められる。
これが東京でいうとあと50年しかもたないよ、と言うお話でした。

日本の最終処分場の寿命はあと22.4年。20年後にゴミが捨てられなくなるという現実。

国がすごく対応をしても、寿命は22.4年しかないんです。
例えば行政が取り組んでいるのは、灰のリサイクル。

路盤材として灰を道路の原料に、アスファルトの中へ入れる取り組みを行っています。しかし、非常にコストがかかる様なんです。

ここまでやってあと22.4年の寿命…
これは芸人をやってた時は全く知らなくて、ゴミ清掃員になって一番驚いたことでした。

ゴミが教えてくれるその人のストーリー

自分が清掃員として働く際には『もったいないな』と思うことの連続でした。

その中でよく思うのは食品ロス* の問題。
これはなんでしょうか?(写真参照)

答えはお米で、秋になると米がたくさん捨てられます。秋に新米が出て、古いお米を捨ててしまうから。
これは清掃員の中で当たり前のあるあるなんです。

引っ越しシーズンも一緒。
ハレとケという概念があるから、新しい家に行くときには皆古いものを捨てたがります。

そして、ピザも一切れだけ食べて捨てられてたり。1つ買うと、1つ無料のサービスでもらったのかな?と思います。冷凍すればいいのにね!(会場笑い)『無料でもらえるなら、もらっておこう。食べなければ捨てればいいや!』という気持ちがゴミに表れていますよね。

近年は、顔が見えない関係が作られているのが分かります。
現代は効率化を重視することになり、顔の見えない関係が作られてきました。

昔は顔が分かる方のものを食べていたから、簡単に捨てなかったけれど、顔の見えない関係性が物を捨てやすくしているのではないかと思います。

  • 食品ロス = まだ食べられるのに廃棄される食品のこと

事業系の食品ロス

僕は環境番組もやっているので、アリス福祉会というフードバンクの取材に行ったことがあります。
その取材でスーパー3軒分の1日の食品ロスを見せてもらいました。(写真参照)

賞味期限があと5日あっても食品ロス。見込み発注と言って、多く発注しているので売れない商品も出てくる。しかし、予測注文量を先に発注しておかないと間に合わないようなんです。

1つの原因として、こだわりの強い方が、自分のお気に入りのものがないとクレームをする事が稀にあるよう。その人が来ても来なくてもいいように頼んでおくと仰っていました。

僕が伝えたいのは、「あるもので賄う気持ち」は大事なこと。
例えば、お気に入りのおにぎりがない時は、今日はパンに挑戦しよう!とか、あのお弁当気になっていたんだよね。って。

世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量は、年間420万トンと言われています。そして日本の食品ロスは年間約522万トン*

世界の援助食糧の1.2倍の量をたった一国で捨てている現状です。

穀物をお金で買って、全部食べずに捨てる状況。
食べなければ捨てるという行動は個人だけでなく、国規模でも同じことが起こっている。

やはりある食べ物を賄う気持ちは大事。
私達が買う量を減らしたら、現地の方は少し安い値段で買えるから飢餓が生まれにくくなる。

だからこそ、他の方のことも考えて、必ず食品ロスは無くさないといけないなと僕は思います。

  • 農林水産省及び環境省「令和2年度推計」

今日覚えて行ってほしい言葉

最後に、今日覚えて欲しい言葉が3つあります。

Last Long(ラストロング):
愛しているものなら、命なくなるまで使う。

Just Enough(ジャストイナフ):
過不足ない。樽を知る。すると心が豊かになる

3Rの更にもう一つ、4R(フォーアール):
皆さんがよく知っている、Reduce(ゴミを減らすこと:一番大事!), Reuse(形を変えずもう一度使う), Recycle(リサイクル)に追加で、Respect(ものに対して、人に対してリスペクトの気持ちを持つこと)です。

思いやりを持つってとても大切だなと思います。

最後に、11年間ゴミ清掃員をやっていると、ゴミってなんだろうなって考えた結果、「ゴミって人の心だ」と考え着きました。人がゴミって思った瞬間それはゴミになるんです。

汚いからゴミ、綺麗だからゴミじゃないではない。
綺麗なものでもゴミになるし、汚くてもゴミではなくなる。

日々敬意を払って過ごしていただけると、少しでもゴミ問題は解決するんじゃないかなと思います!